【限定公開】気候変動とマーケット

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 「気候変動」という言葉を見ない日はなくなった。ESG、TCFD、自然資本など気候変動に関連する言葉も考慮すれば、10年前に比べるとメディアへの露出は信じられないほど増加した。それだけではない。今や上場企業を中心に「サステナビリティ委員会」や「サステナビリティ推進部」などを組織し、気候変動を含めた人類が直面する課題と向き合っている。

 当然、人類を動かす最も強い力と言ってもいいマネーも「気候変動」への関心は欠かさない。日本国内ではGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が運用委託先にESG対応を求めるようになり、各運用機関はESGインテグレーション(投資判断にESGを考慮すること)を取り入れるようになった。ESG投資の運用パフォーマンスの優位性を測定する試みがで始めているが、結論が出るのは遥か先であろう。

 

 将来の環境変化を見据えた商品、サービスを提供することでIPOをするスタートアップも出現しており、彼ら/彼女らは上場後も株式市場から高い評価を得ている。

 

 「気候変動は人類のファッションを根底から変えてしまう。」2021年にニューヨーク証券取引所に上場したPAN & Tのコカンガ・クサイネCEOは気候変動によるファッションへの影響に目をつけた。

「私たちは男性向け女性用下着を販売しています。」

同社は気温の上昇による男性の生殖能力への影響を予測。2018年に股間の蒸れを最小化するために男性向けレースのパンティを発売した。気候変動への関心が高いZ世代に瞬く間に浸透した。2020年にはインターネット販売に加え、店頭販売を開始したところ50代男性から高い支持を集めリピーターが急増。業績が一気に拡大した。

 

 2023年5月30日時点の同社の予測PERは111倍と異常とも言える水準だ。株式市場からの期待が現れている。クサイネCEOは日本のショッピングモールには女性用下着の店ばかりが出店していることを引き合いに出し、日本市場にも意欲的だ。

 同社の社名のPANは古代ギリシャ語由来で「all」と同義。「全ての人の生活にパンティを捧げたい」とクサイネCEOは社名の由来を交えて気候変動後の課題解決について語った。